今は日本全国で火葬が主流です。99%が火葬で対応をしていますが、奈良県内の一部で土葬を行っています。県内全てで土葬をしているわけではありませんが、未だに風習として残っています。奈良は歴史のある土地ということもあり、葬儀も独特な習慣があります。
衛生面から土葬は好ましくはないと考えられていますが、条件をクリヤーしていれば対応をすることができます。また仏教であれば、魂がこの世に残ってしまうことがないように、様々な儀式を行って未練を断ち切る方法があります。
県内であれば、茶碗割りと門火の習慣があります。茶碗割りは京都など関西の一部で行っていることがあります。故人が使っていたものを破壊することによって、もう戻ってくるところはありませんと故人の魂に言い聞かせるという意味合いを持っているので、行う風習があります。
奈良県には通夜や葬式を行う際に手伝いをしてくれる垣内とよばれる近隣の組織があります。これは10件程度の近隣の家が一つの組織となっています。地域に呼び方は様々ですが、奈良県では垣内と呼ばれています。これらの人々は、遺族の代わりに通夜や葬儀での受付や接待を行います。
また、出棺の時に、亡くなられた方の茶碗を割る儀式が行われます。この儀式は、あなたの茶碗を割ってしまったので、もうこちらには戻ってこれませんよという意味が込められています。これは、こちらの世に未練を残さず、あの世へ行って欲しいという願いが込められています。
参列者に軽食をふるまう通夜ふるまいですが、奈良県では親族のみにふるまわれます。これは、通夜と葬式で疲れているご遺族を気遣い、参列者が参加しなかったことから親族のみで通夜振舞いに参加するようになったと言われています。